明治神宮に隠された秘密

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世界有数の大都市、東京都渋谷区。立ち並ぶビルや住宅の中央部に不自然なほど緑が溢れる地域があります。それは「明治神宮の森」。明治天皇(1852-1912)と昭憲皇太后(1849-1914)を主祭神とする明治神宮本殿を中心に、鬱蒼と繁る木々はまさに「森」。この森は神域として人間の立入が禁止され、100年以上もの長い間守られてきました。

実はこの森には世界でも類を見ない秘密が隠されています。

立ち入り禁止の看板。

それは「人工的に作られた原生林」という事。辻褄が合わないようですが、分かりやすく言えば原生林のきっかけを人間が作った、といったところでしょうか。100年以上前、全国から寄付された10万本もの献木が11万人ものボランティアにより1本1本丁寧に植えられました。驚くべきは植栽後、生育管理をした訳ではなく、人が歩く参道沿いの木々以外は敢えて放置し自然の力で育った森だという事です。ここに原生林と呼ばれる所以があります。

明治神宮造営当時の大鳥居周辺
現代の大鳥居

永遠の杜

森を創る計画を考えた学者たちはこの森に大きなテーマを持っていました。

それは「永遠の杜」

壮大なテーマを達成するには何が必要なのか?それは森自身が健全な新陳代謝を繰り返し、持続可能な森になっていくこと。その為には森が自浄能力を身につける必要がありました。100年後、150年後、持続可能な森になっている為の綿密な植栽計画が建てられたといいます。まるで現代の「SDGs」のようです。一世紀の時を経て、高層ビルの中に日本中のどこにもない不思議な森が出来上がりました。

2020年に鎮座100年を迎えるに当たり2013年から16年にかけて行われた大規模な境内生物総合調査の結果、なんと哺乳類のタヌキから生態系の頂点に君臨するオオタカまで発見されたそうです。現在、3000種もの生物の宝庫となり、中には絶滅危惧種のカントウタンポポやミナミメダカなども確認されました。皇居と明治神宮だけに生息するカタツムリの新種も発見されています。緑の大切さが改めて認識されている古今ですが、1世紀以上掛けて作られた明治神宮の森は生物を守り環境保全を図るという役割をも担っていたのです。

7月某日、取材で現地を訪れましたが、人の手で造られた事が俄に信じがたいほどの本当に深い森です。100年後、150年後の遠い未来を見据え、最高の技術力、構想力、そして創造力を持った人々が集結していたことはもちろん、何より「強い信念と使命感」が森をも造る真実に驚くと共に、深い深い感銘を受けました。

参道脇には小川も。
この茂みの裏からは電車の音が聞こえる不思議な空間。

永遠の杜造りはこの先も続いていきます。私達もこの森を繋ぐ責任があります。出来ることを少しずつ、力を合わせればきっとこの森を残していけるはずです。未来へ繋ぐ大切な場所としてこの先も明治神宮の森が100年後、150年後も残っていきますように。

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