緊急事態宣言で街の灯りが消えるなか、ポツンと残った光。それは街灯でした。
コロナ禍、眠らない街「渋谷」も電気が消えてひっそりと街灯だけが灯り、どこか寂しそうな雰囲気に。それでも、雨の日も風の日も、お祭りの日も緊急事態宣言中も街灯は渋谷を見守ってきました。その街灯、じつはエリアによってデザインが違うのはご存知でしたか?? いつも見ているようで、見逃している渋谷の街灯について『渋谷街灯コレクション』と題して特集していきます。
今回は、以前通り特集で紹介した文化村通りの街灯編。こちらの街灯は、早くご紹介したかった街灯の一つです。だって……この形変ですよね?
今まで渋谷のセンター街はなかなかのクセのある街灯でしたが、こちらも負けていない円盤型の街灯。現代のネット検索を以ってしても、類似した街灯が見つからないほど、独特なんです。
円盤が一周光るデザインは、もうUFOそのもの。やはりセンター街といい、渋谷は近未来の街をイメージしているのでしょうか?
いつもならば、筆者の独自の取材と憶測、感想がメインのこの記事ですが、とうとう担当の方にお話をお伺いすることができました!!!
お話をお聞かせくださったのは、文化村通り街路灯担当者の喜山さん。
「街灯の話が出ていたのは、ちょうどBunkamuraができるぞってところだったんですよ。松濤美術館にも人を集めたいなんて話もあって、意気込んで六社のデザインコンペを行いましたがあまりいい案がなくてね。いろいろ模索していたら、新宿西口地下広場を手がけ、打ちっぱなしコンクリート住宅の先駆けの建築家・東孝光さんがデザインしてくれることになったんです。その中で、ポール自体を照明にする案がすごくカッコ良くて、さらにデザイン性で上部がリングを入れた行灯になりました。当時道玄坂には鋳物のゴミ箱があったのだけど、バットで壊されたことがあり、素材は錆びなくて衝撃にも強い鋼管にしようということにしました」
「街路灯自体にパネルが付いていて、そこにポスターなんかの掲示物が入れられるのだけど、そこもガラスだと破られてしまうからポリカーボネートという素材にしてあるんですよ。でも、一回ライターかなんかで燃やされたこともありました。街路灯はチラシやステッカーが貼られたりするもので、一応剥がれやすい素材にしたりの工夫もされています。それでも毎日出勤前に汚されていないか、貼られていないかチェックしに行くんですよ。毎日チェックすると、貼る人もここに貼ってもすぐ剥がされるなってわかるようになるから貼らなくなるんでね」
街の街灯に込められた様々な人の思い。忙しい社会の中で、見落としていたことを見つけたような気持ちになったお話でした。