渋谷駅よりスクランブル交差点を渡り道玄坂の右側を上り2つ目の角を右折したところに位置する“渋谷百軒店(しぶやひゃっけんだな)”
上記写真の印象的な門構えを目にしたことがある人は多いのではないでしょうか?渋谷百軒店はここを入り口と解釈すると円山町のクラブ街、ランブリング坂の中腹に出口がございます。こちらの出口(下記写真)にも同じ門構えがあることは意外と知られていないです。改めて歩いてみるとその範囲の広さに驚かされます。このあたりは風俗店が立ち並び、キャッチや怖そうなお兄さんが行き交う治安の悪いエリアだと解釈している人も多いことでしょう。決してそのイメージを否定することは出来ません。しかし渋谷百軒店は渋谷の発展のきっかけとなり、いくつかの名店が今もなお営業を続ける面白いエリアでもあるのです。
今回はそんな渋谷百軒店について特集しようと思います。
時は約1世紀ほど遡ります。。。
1924年に造成されたのがこの渋谷百軒店です。このあたりは当時存在した西武グループの土地会社、箱根土地により宅地として分譲される予定だったそうです。いわゆる普通の一軒家が立ち並ぶ予定だったのでしょう。しかし1923年におきた未曾有の大災害、関東大震災により予定はがらりと変更されました。被災した下町の有名店を誘致する土地として開発することになったようです。当時渋谷は田舎町のひとつに過ぎず被害は小さかったみたいですね。
誘致された店舗の数は117店舗もあったようで、飲食店、物販店、劇場、など多岐にわたりました。文字通り百軒以上の店舗が集結したのですね。商店街の角には誘致された店舗の末長い繁盛を願って千代田稲荷神社が宮益坂より御遷座されたそうで今もなお存在します。
しかし、これらの誘致された名店も下町の復興に伴い徐々に離れていきました。極め付けは1945年の東京大空襲により一帯は全焼してしまったそうです。
ご存知の通り戦後日本は目覚ましい発展を遂げることとなるのですが、百軒店は映画館が立ち並ぶ繁華街として栄えたのです。今では考えられないですが複数箇所にの映画館が立ち並び人通りが絶えなかったそうです。(上記写真参照)
途中映画館の一部はボウリング場に転換され今では全て立て替えられてマンションとなっています。(下記写真参照)
百軒店といえば風俗店、またはそれに近しいお店が乱立するエリアとしても有名ですがストリップシアター道頓堀劇場のことをご存知の方も多いのではないのでしょうか。1970年開業の道頓堀劇場は一時閉館や営業停止を乗り越えコロナ禍の2021年現在も営業を続けておられます。Netflixのドラマとしても有名な全裸監督2でもストリップショーのシーンがございますが道頓堀劇場で開催されたもののようです。
一説によると道玄坂劇場という名前で始める予定が手違いにより道頓堀劇場という巨大なネオン看板が出来てしまいそれをそのまま使用しているそうです。今ではストリップショーのみの営業ですがお笑いコントに力をいれていた時期もあり、数々のコメディアンを輩出したことでも有名です。
どうしても渋谷百軒店は大人が通う色気があるお店が目立ちがちではありますが、知る人ぞ知る名店が今もなお営業されております。以下にその名店をいくつかご紹介します。
昭和元年創業の名曲喫茶ライオン
文字通り名曲と美味しいコーヒーを楽しめるお店です。店内はタイムトリップしたような空間になっています。
昭和26年創業 ムルギー
山形に盛り付けられたご飯と整然と並べられた茹で卵が印象的なカレーが有名です。
昭和27年創業 喜楽
カップラーメンとしても発売されている有名店です。ワンタン麺が人気です。
3店舗ご紹介いたしましたがどこもネットで調べれば山ほど記事が出てくる名店ですね。他にも私も存じ上げないディープなお店が百軒店にはたくさんあることを渋谷通の人からはよく耳にします。一見治安の悪そうな渋谷百軒店ではありますが今回改めて調査してみると奥が深いエリアであることを確認できました。自分しか知らないこだわりの名店を渋谷百軒店の中から見つけてみるのも面白いかもしれないですね。