皆さんは渋谷にかつてケーブルカーが走っていたことをご存じですか?ケーブルカーと言えば山間を上り下りするイメージを持たれる方も多いと思います。高層ビルが立ち並ぶ大都会と言える渋谷になんだか不釣り合いなケーブルカーですが、昭和の時代に確かに存在していました。
その名も「ひばり号」。
山手線をまたいで東横百貨店(東横店東館)と、当時4階建てだった玉電ビルの屋上を往復する子供用の遊具として昭和26年に設置されました。国鉄渋谷駅の線路の真上を通る空中ケーブルカーの距離は75メートル、定員は12名で子供のみ、往復運賃は20円だったそうです。戦後の間もない時代であったことから周囲に高層ビルは無く、遠く三軒茶屋の周辺まで見渡せるロングパノラマビューは大人気だったようです。目立つオレンジと黄色のゴンドラは、渋谷公会堂(現在のラインキューブ)からも肉眼ではっきりと確認できていたと記録が残っています。
人々の印象にもっと残っていそうなひばり号ですが、稼働はたったの二年間でした。様々な理由があるようですが、東横百貨店新館の建設が最大の理由と言われています。当時もものすごいスピードで渋谷という街が変化し続けていた事がうかがえますね。
現代に生きる私達が渋谷にケーブルカーがあったことを想像するのは難しく、その痕跡さえも度重なる再開発で今や見る影もありません。子供用の「遊具」となると、正確な記録も残されていないようで、参考資料などを読み漁りましたがどれも正確なのかどうか定かではないようです。ただ、間違いなくそこには確かに笑顔いっぱいの子供たちを乗せたひばり号がありました。当時に想いを馳せて街を歩いてみるのも面白いかもしれませんね。
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