渋谷の各地名の由来 神南編

公開:  更新:
この記事をシェアする

渋谷区には沢山の地名があります。それらの地名を少し深掘りしていってみようというのがこちらのコーナー。第四回は「神南」を解説します。

神南は、渋谷駅近くの繁華街を形成するエリアの一つです。特にショッピング面では、渋谷を代表するファッショナブルなエリアで「公園通り」や「神宮通り」「ファイアー通り」などに個性的なお店が大小立ち並んでいます。また、代々木公園をはじめ、NHKや代々木国立体育館、渋谷区役所や北谷神社などの公共機関もあり、自然と文化が美しく融合しているエリアです。

代々木公園は渋谷区民にとって憩いの場

そんな神南エリア、何故「神南」なのでしょう?
渋谷区だけでなく日本を代表する神社の一つ「明治神宮」の南にある事を起因としており、その昔は神南町という名前だったそうです。昭和3年、前耕地、豊沢、宇田川、深町の一部などが合併して「神南」とされ、昭和7年(1932年)10月1日、渋谷町が東京市に合併して東京市渋谷区となってから「神南町」となりましたが、現在は町が外れ、神南一丁目、神南二丁目となっています。特筆すべき点は当時は「じんなん」と呼ばずに「かんなみ」という読み方だったということ。「じんなん」と呼ばれるようになったのは一般的には戦後から、と言われているそうです。

昭和3年の渋谷の地名が書かれた地図。「大字整理事業」によりより近代的な名前が付けられた。

有識者の間で戦前から「じんなん」と呼ばれていたのではないか?という論争が長い間続いているようですが事実は今もはっきりとしていないようです。
戦後からだとする理由は、最もらしいものとして「明治神宮」に由来する「カンナミ」読みは古い時代を引きずっているように感じ相応しくない、として「じんなん」とした説や、ワシントンハイツのアドレス(住所)として相応しくないので「JINNAN」と表記(呼称)した説があるようです。どちらも戦前・戦後の混沌の時代背景からして当然あり得る話だと言えますが、どの説も立証が難しく本当の事は誰もわからないそうです。

神南という地名の由来が分かっているのにもかかわらず、読み方がいつ変わったのかはっきりと分からないというのは不思議ですね。

公開: