世界に名だたる大都会である渋谷。実は多くの神社仏閣があります。今日は渋谷の原点ともいわれる金王八幡宮を解説していきます。
歴史
金王八幡宮は、渋谷城を築き渋谷氏の祖となった河崎基家によって寛治6(1092)年に創建されたといわれています。元々は渋谷八幡と呼ばれていました。社名にある「金王」は、基家の子である重家がなかなか子供が出来なかったため、この神社に子授けの祈願をしていたそうです。すると奥さんのお腹に「金剛夜叉明王」が宿る夢を見て、見事妊娠。実際に男の子が生まれてきたことで「金剛夜叉明王」の化身だ!と確信し「金王丸」と名付けられたことによるとされているようです。
見どころ
1.神門
江戸時代中期に建立されたもので渋谷区有形文化財に指定されています。朱色がとても美しい神門です。
2.社殿
慶長17年(1612年)に建立されました。神門と同じく渋谷区指定有形文化財です。竹千代(德川家光)の教育役の青山伯耆守忠俊(あおやまほうきのかみただとし)と乳母(めのと)の春日局(かすがのつぼね)が徳川家光の将軍就任を八幡宮に祈願。願いが成就し徳川家光が征夷大将軍となったことを大神のご加護のおかげと、現在の社殿及び神門を寄進して造られたそうです。権現づくりと言う江戸時代初期の様式をとどめる都内でも貴重な建築物であり、見応えのある美しい彫刻は必見です!
3.玉造稲荷神社
金運アップのご利益があると言われています。中に祀られているのは宇賀御魂命。
4.御嶽神社
開運と商売繁盛のご利益があると言われています。
5.金王丸御影堂
境内から少し離れたところにある金王丸御影堂には金王丸が掘った自身の木造と毒蛇長太刀が収められています。自分の木造は決戦前に母親に託して出陣していたとか。毒蛇長太刀は、金王丸のとっておきの秘刀だそうです。
6.都内最古の神輿
「都内で現存する最古の神輿で、鎌倉七神輿のひとつとされている」と書かれていました。おや、鎌倉七神輿?鎌倉?何故神奈川県の鎌倉にあるはずのものが渋谷に??
諸説あるうちの一説が同じパネルに書いてありました。筆者はこれを見て大変驚きました。簡単に翻訳すると…
江戸時代の金王八幡宮の氏子が鎌倉八幡宮大祭に参加した際に鎌倉七神輿のひとつであったこのおみこしを担ぎだし、エッサホイサと渋谷まで持ってきてしまったそうです!
本当のところは分かりませんが、どさくさに紛れてもらって帰ってきたという不思議なお話です。
7.天地明察に登場する算額
算額とは算数の問題が書かれた絵馬。安政6年(1859年)に四国の伊予西条藩の山本庸三郎貴隆によって奉納されたものです。沖方丁の小説『天地明察』にも登場します!
8.砦の石
渋谷城は北条氏と上杉氏の合戦で焼失してしまいましたが、かつてこの場所に渋谷城があった、という証拠である砦の石が今も残されています。
9.お祭り
渋谷金王八幡宮例大祭は毎年9月に行われる渋谷で最大の祭りです。
2019年を最後にコロナウイルス感染拡大の防止のため神輿渡御は中止されていましたが、今年2023年は神輿渡御が開催されます。青山、渋谷区域の祭礼として行われ、五穀豊穣・街の繁栄・氏子崇敬者の無病息災を祈願して数百年以上続けられてきた伝統的な行事です。
まとめ
いかがでしたか??渋谷駅から徒歩圏内の金王八幡、これだけの見どころが詰まっています。何より「渋谷」という名前がここを由来としている可能性がある、というだけでなんだか神秘的ですよね!緑がたくさんある素敵な場所でもあるので、お近くに来た際は是非訪れてみてください!