代官山にある美しき中華の名店「中國名菜 龍坊」

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代官山駅東口から徒歩2分の場所にある、重厚な雰囲気のテナントビル「オクターヴコート代官山」。建物の地下へ降りる階段の先に、緑豊かなエントランスとアンティーク調家具のある店内が素敵な飲食店「中國名菜 龍坊」があります。一見イタリアンのような佇まいですが、20年以上続く中華料理店なんです。

「中国料理人の最高峰である特級厨師が昇華させた北京宮廷料理を日本人の舌に合わせ、気軽に本格中華を楽しむことができるお店として、2000年に六本木にて開店しました。その後、赤坂、兵庫県の宝塚にも出店。ですが、エリアの再開発やビルの建て替えで六本木や赤坂は閉店し、宝塚のみになりました。宝塚店は阪急電鉄からのオファーで昔校舎だった建物を丸々一棟使った大型店でした。周りの商業施設に遊びにくる方や地元の方に愛されるお店でしたね。」

店長の木野貴音さん

そう話すのは、店長の木野貴音さん。10年以上にわたり龍坊に立ち続け、この代官山がオープンする際は物件選びから内装まで手掛けたそうです。

「私はその宝塚店から龍坊に携わりました。それまでは大阪でホテル関係施設の飲食や接客業をしていました。元々は料理人に興味があったのですが、料理人を目指して就職した先の配属で、フロントスタッフになってしまって。けれど、お客さまに喜んでもらうという意味では大きな違いはないと思ってやりがいを感じています。」

兵庫県宝塚市にあった店舗の様子

「宝塚店はメディアなどにも多く取り上げられる人気店でした。ですが建物の取り壊しで立ち退きに。新たな店舗を探す際に、スタートでもあった東京に戻ろうと、代官山にきました。……いやー、そこからは地獄でしたね!(笑)。1日開けても10人ほどしか来客がない赤字が続き、友人や親戚に連絡してきてもらい、空いた時間はチラシ配りをしました。ご近所の大きな企業はもちろん、小さなクリニックまで回りましたよ。あの時は代官山の人々に助けられましたね。近隣の方に“味は美味しいし雰囲気も良いから、1年続けたらきっと大丈夫”と言われて踏ん張りました。ご友人を誘ってくださったり、ご自身の住むマンションにうちのチラシをポスティングしてくれた方もいました。その甲斐あってか、なんとかこの地で認めていただき、リピーターの多い店に成長しましたね。最初は代官山という立地を後悔したりもしましたが、今となっては代官山で本当によかったです。」

本物へのこだわり

代官山に移転し、10年。すっかり代官山の名店として愛されている龍坊。そのこだわりや愛される理由はいったいなんでしょうか?

「開店当初から味はもちろん、食器や内装にもこだわっています。味は本物に近いものを、日本人でも食べやすくと考えています。使われている山椒などは四川の中でも最も香りが良い花山椒を使用しています。また、中華の食器はシンプルなものが多いのですが、うちは飯能焼きを使用して華やかさと“龍坊らしさ”を演出しています。店内はイギリスのアンティーク家具を使用し、床は贅沢なカリンの木を使ったヘリンボーンにしました。接客も来た方みんなに喜んで欲しいと、家族連れやお一人様にも楽しんでいただけるような雰囲気作りをスタッフ一同心がけています。」

地下ながら美しい光が差し込む店内

熱々の料理が盛り付けられるお皿は、美しい飯能ブルーやデザイン性のある縁の波打った平皿です。艶やかな料理たちは芸術作品のような美しさ。

ランチタイムは待つ人の列ができるほどの人気店。お客さんのお目当ては坦々麺と炒飯です。自慢の山椒が効いた坦々麺は、さっぱりしつつコクのあるスープで辛さは控えめ、まさに万人に愛される味。火力を最大限に活かし、パラパラになった炒飯は、具材が日によって変わるので飽きず、ついつい通ってしまうお店です。

ランチで人気なのは「坦々麺」と「炒飯」
長く愛される自慢の味「酢豚」

「また流行りものは追わない、惑わされないのもこだわりですね。神戸時代のお客様はもちろん、六本木にいらした方も通ってくださいます。当時小さかった子がすっかり大人になるなど、時の流れを感じながらも変わらない龍坊の味を楽しんでいただけるよう努めています。料理長も赤坂時代から変わっていません。北京出身の腕のいいシェフですよ」

厨房を覗くと長く使われているであろう中華鍋での調理は豪快!ですが、熟練の技で手早く作られる料理はとても繊細で中華という括りでは表せない逸品です。我々もこの日は美味しい中華を堪能させていただきました。

より愛される店へ

すっかりお腹いっぱいでお話を進めてきましたが、最後に、代官山の好きなところや今後などについて聞いてみました。

「代官山のみなさんは本当に優しいですよね…すごく好きな街になりました。渋谷という都会からたった一駅なのに、静かで治安が良いです。また、うちの店も商店会に所属していますが、みんな協力的で結束力も強いです。こんなに仲が良い商店会はなかなかないんじゃないかなぁ。なので、この代官山の雰囲気や伝統を守りつつ、新しいものを取り入れて盛り上がって欲しいですね。」

「龍坊も代官山で10年やってこられて、やっと少し先のことを考えられるようになりました。これからもより愛される店であることはもちろん、なにか新たなことに挑戦していきたいと考えています。」

都心ながらも住み心地が良い代官山。そこに住む人たちに受け入れられ、愛される龍坊はこれからも代官山で普段のランチに、ちょっと特別な日のディナーに、美味しい中華を振舞うでしょう。この先も代官山で愛され、名店から老舗へと変わりゆく美しき中華料理店「中國名菜 龍坊」でした。

左より、木野さん、シブテナ代表松本、料理長
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