予約必須の人気串揚げ店「六角亭」二代目店主大家幸治さん

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すっかりコロナ以前の賑わいを取り戻した代官山に、一際賑わうお店があります。古くからの味を丁寧な和食の技で守りつつ、時代とともに進化していく串揚げが多くのお客さんの心を掴み、その噂は外国人観光客まで広まる人気店「和食と串揚げ 六角亭」です。

今回はそんな「六角亭」の二代目店主である大家幸治さんにお話を聞いていきます。

義父の生まれ育った代官山で35年

「六角亭はこの場所で創業35年を迎えた和食と串揚げの店です。先代である義父の金子悟が串カツの老舗『はん亭 根津本店』に弟子入りし、そこで一緒だった同僚と独立してできたお店だと聞いています。僕は先代の娘さんと結婚し、10年前から携わっています。義父は元々並木橋で八百屋をやっていて、このエリアに土地勘もあり代官山にオープンしたようですが、当時この辺はまだ何もなかったと聞いています。」

「僕自身は徳島県生まれで、家業が料理屋だったこともあり料理人を志しました。大阪の専門学校を卒業し、そこから地元の寿司割烹やアメリカの寿司屋で働き、もっとスキルを高めるために上京しました。赤坂の詠月や神谷町の大橋茶寮で修行を積み“献立”も書かせていただきました。」

名店で腕を磨いてきた大家さん。料理人にとって献立を書くということは、お店の中で重要な立場であることを意味します。

多くの人に愛される串揚げのこだわり

「六角亭の串揚げはパン粉がきめ細かく、揚げ物でありながら脂っこくないのが、先代からのこだわりです。パン粉で包み、食材を蒸すイメージで揚げているので食感が軽く、何本でも食べられます。季節の食材を本格的な和食の技法で丁寧に作り込んで揚げています。また僕がお店に携わってからは、懐石や寿司などの要素を取り入れるなど試行錯誤を繰り返し、今の業態になりました。なので串揚げはもちろん、お造りや一品料理も丁寧につくっていますよ。」

実際にいただいた串揚げは、びっくりするほどエアリーでさくっと食べることができ、胃に負担がありません。いらしていた常連さんにはご高齢の方も多く、揚げ物というと油っこいイメージがあったので驚きましたが、食べてみると納得のお味でした。

この日は大家さんご本人が釣ったという甘鯛の串揚げをいただくことができました。松笠揚げという、甘鯛の鱗を立てるように揚げることで松ぼっくりに見立てた繊細な技が施されており、そのパリパリとした食感が絶品でした。

「有難いことに、先代の頃から変わらず通ってくださる常連さんがたくさんいます。先代は昔、職人気質で接客も無口だったそうですよ(笑)。その時代は口数の少ない職人らしい姿がかっこよかったと聞いていて、僕も憧れを抱きました。今は時代のニーズに合わせて、ホールスタッフもできる限りお客さんとコミュニケーションを取るようにし、お客さんのコンディションを見ながら揚げ物のネタやタイミングを見計っています」

先代である義父の金子悟さんの背中を追いながら切磋琢磨する大家さん。その姿に、常連さんはもちろん、代官山の地域の方も応援してくれるそうです。

大都会で驚いた“温かい”街の人々

幼少期を徳島県で過ごし、東京に出てきたのは二十歳を超えてからという大家さん。しかも、代官山老舗の個人店の二代目になることは容易でなかったと思います。ですが、意外にもご本人はしっくりきているようでした。

「代官山の人ってすごく温かいんですよね。代官山に住む人も、代官山が好きで定期的に来る人も、みなさん余裕があって品が良い。銀座に近いイメージでしょうか。代官山商店会で一緒の方々も、地域のことやビジネスのことなどいろいろ教えてくださって尊敬できる先輩方ばかりです。」

すっかり代官山に馴染んでいる大家さん。ではそんな大家さんから見て、代官山にはどうなっていって欲しいのでしょうか?

「代官山は今のまま、あまり露出せず流行らず、この雰囲気を壊さないで欲しいです。代官山の今の雰囲気って街のみんなでつくり、守るべきものが多いので、僕もそのお手伝いができたらと思っています。また、この代官山の魅力や個性をもっと活かして、もっと“代官山らしさ”にエッジをきかせていきたいですね。そんな街で“代官山といえば六角亭”と言ってもらえるような、こだわりの職人が集まった店にしていきたいです。」

大都会でありながら、人の温かさを感じることができる代官山。近寄りがたいハイエンドな街のイメージを持たれがちですが、親しみやすい素敵な街なんです。そんな代官山で、学び成長する六角亭さんと一緒にシブテナも成長していきたいと思いました。

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